日本医療秘書学会第21回学術大会
大会長 星 輝美
日本医療秘書学会第21回学術大会を開催するにあたりご挨拶申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行から3年が経過し、4年目に入った本年5月には感染症法に基づく分類で重症化リスクや感染力が高いとされる2類相当から、季節性インフルエンザ同様の5類へ移行となりました。オミクロン株は第6波、第7波で拡大しましたが、従来株と比べて重症化率が低い傾向にあったことや、対応できるワクチンの接種が浸透した事が主な理由とされています。感染者の全数把握の簡略化や、マスクの着用も含めて様々な対策が緩和されました。各地でのイベントやお祭りなどが盛大に再開され、観光地では海外旅行者を始め多くの観光客が戻ってきており、何となく国全体に活気が溢れてきたような気がします。一方で、医療の現場では院内感染の防止に努めた医療提供を継続しています。医療従事者の皆様は、すでにwithコロナの医療体制を実施され、今後起こり得る新興感染症に対応すべく日々進化されているのだと思慮いたします。しかしながら患者数は減少傾向からなかなか回復せず、全国の医療機関で苦慮されている状況のようです。新型コロナウイルス感染症における病床確保の補助金で多くの医療機関が黒字になったというニュースは記憶に新しいですが、多くの医療機関では院内クラスターや、患者さんの受診控えの影響もあり、医業単体での収支は決して良かった訳ではなかったため、病院経営については非常に厳しい状況となっています。またこのような状況の中、来年度からは医師の働き方改革がスタートし、Withコロナ・アフターコロナへの対応と共に、本格的なタスクシェア・タスクシフトをスタートして行かなければなりません。更には、少子高齢化によって労働人口が減っていく2025、2035、2040年問題もすぐそこまで迫ってきており、医療の現場は大きな転換期となっています。この大きな転換期において、医療秘書の役割は非常に大きく、活躍の可能性を秘めておりますが、医療秘書を目指す人口も減少の一途を辿っており、一度原点回帰が必要ではないかと考えます。そこでこの学会を通じて皆さんと医療秘書について語り合い、その魅力を再認識しようではありませんか。
そこで今回のメインテーマを「医療秘書の魅力を語ろう」~戦略と挑戦~としました。
これからの大転換期を支える医療秘書としての役割とともに、医療DXやAIの活用など、今後に向けた戦略と挑戦について皆さんと一緒に考えていければと思います。
第21回学術大会は東京の「ニッショーホール(旧ヤクルトホール)」で開催させていただきます。また、今回も前年同様に現地開催及びWeb開催・配信のハイブリッド方式での開催を予定しております。
開催にあたり、ご支援を賜ります皆様へ心より御礼申し上げます。また昨年同様多くの皆様にご参加いただけますよう、重ねてお願い申し上げます。