日本医療秘書学会第8回学術大会を平成23年2月27日に大阪商工会議所国際ホールにおいて開催させていただき、600名近い参加者をえて、無事終了することができました。ご参会くださいました皆々様はじめ、準備委員の方々及び当日の運営にあたられた皆様へ厚く御礼申しあげます。
当学術大会は「医療秘書の未来像を探究する」をテーマとして企画されました。恒例の会長基調講演は、おりから本年秋に百歳という特筆慶賀すべきお年をお迎えになる会長日野原重明先生から、「人生百歳から医療の未来を想う」との題名のもとに、「医療秘書の未来像」の基盤となる「医療の未来のあり方」のお話をうかがうことができました。
会員皆様からご登録をいただきました一般演題21題の内訳は、学生から12題(うち修士課程在学生2題)、医療機関の実務担当者から5題、学校教員から4題でした。一般演題の登録数が増加し、かつ医療機関の実務担当者からのご登録が増加してきたことは、前回大会以来の注目すべき特徴です。とくに今回は、大会テーマにそって、医療秘書の活躍分野の新しい展開を実証的なデータをそえて示されたものとなっており、「日野原重明賞」もこの分野の演者が受賞されました。
パネルディスカッション「高度専門化する医療秘書に求めるもの」は、医療機関の経営と医療秘書教育の両面に携わっておられる座長のご司会のもと、医療機関経営管理の研究者、医療秘書教育現場の責任者、看護師、医師など多方面からの専門家がそれぞれの立場から医療秘書の働きへの期待を述べられました。討論において、北野病院の鎗野副看護部長が「病院のなかで最も大勢いる職種が看護師であるため、医師の仕事以外のことを全て看護師が行ってきた歴史的な実態があり、それを現在まで持ち越している。看護師本来の仕事に専念するためには、医療秘書に取ってもらう仕事を看護師側が切り離していかねばならない」と発言されたことが極めて印象的であり、医療秘書にとっての未来をひらく方向が示されたように思いました。
次回、日本医療秘書学会第9回学術大会は、学校法人川口学園 早稲田速記医療福祉専門学校長 藤野 裕 先生が大会長として東京で開催されます。皆様のまた一年のご研鑽の成果として、医療秘書の未来像が一歩一歩現実のものとなっていく姿をうかがえることを期待しております。